TAKAH Qのブログ

SpotifyやAppleMusicで音楽配信しつつブログ更新中

短篇小説 サムイアサ

今週のお題「急に寒いやん」

 

ある朝起きて

小さなガスストーブのスイッチを押す

 

温度計は一桁を表示している

 

家の中なのに吐く息は白い

 

それもそのはずだ。

 

私が住む老舗のアパートでは

通気口にフィルターがなく

窓際のブラインドのように

角度が調整できるだけで

外と中は繋がっている。

 

虫だって空気だって

入りたい放題だ。

 

夜の方がマシである。

電気毛布で寝床を温めておき

あとは布団にくるまり

 

つけっぱなしの

パソコンのモニターから

YouTubeで好きなバンドの

ライブ映像を観てただ眠るのを待つだけだ。

 

しかし

吐く息が白い朝を何日も経るには

限界があった。

 

そして私は新しい住居への

引越しを決意したのだ。

 

住み慣れた街との別れは

いつだって寂しい。

 

だが出会いと別れの繰り返しが

人生の醍醐味でもあるので

私に迷いはなかったのだ。

 

エンディング曲:

 

あとがき:

小説というか、ただの事実です。

つまりノンフィクションです。