つけ麺屋の怖い客

今週のお題「怖い話」

怖い話というか、怖かっただろう話。

某つけ麺屋さんに僕は夏だけ通っていた。

夏限定メニュー、

冷やしつけ麺が大好きだったのだ。

冷えたビールとお通しの枝豆で

まずは気持ち良くなる。

そこで冷やしつけ麺の登場だ。

冷たく喉を通るのが

少ししょっぱくて美味しい。

上述の通り、冷やしつけ麺は夏限定だ。

この店の冷やしつけ麺以外のメニューは

失礼ながら僕にとっては

夕飯のレギュラーメンバーには入らなかった。

でも冷やしつけ麺は格別なのだ。

5月、暑い日が増え、春が終わりを告げる頃

僕はそのつけ麺屋を覗きに行き、

券売機に冷やしつけ麺があるかどうかを

確認し、まだそれが登場していなければ

そそくさと家路に戻るのである。

それを3日に1度ほど継続し続ける。

そして、

7月くらいについに冷やしつけ麺は登場する。

ついに券売機で券を購入し

店長へ渡す。

彼は

「お待たせしました」

と笑顔で言ってくれるのである。

夏だけの客を爽やかに迎え入れてくれる

心優しい店長に感謝しつつ

券売機をしょっちゅう覗いては帰っていく

冷やしつけ麺プレッシャー男には

ちょっとした恐怖心も抱かせたのではないかと

反省するのである。

そのエリアを引っ越した僕は

もう何年もその冷やしつけ麺を食べていない。

枝豆とビールとそれを

久々に食べに行きたいです。

つけ麺屋さん。